まさひろの『複雑怪奇雑文雑多』

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『シャーロック・ホームズ ボスコム谷の惨劇』仲の良いホームズとワトソン、森で腹這いになるホームズ、無能なレストレード警部www

今回は『シャーロック・ホームズの冒険』の中の1編「ボスコム谷の惨劇」の感想です。この話は殺人事件を扱っており、『シャーロック・ホームズの冒険』では始めての殺人事件となっています。それまでのタイトル、「ボヘミアの醜聞」「赤毛組合」「花婿の正体」は殺人事件ではないですからね。個人的には探偵物は殺人事件がなくてもいいと考えているので、毎度殺人事件を扱っていないのは良いと思います。

 

1.じめっとした暗さを感じる作品

今回の作品はこれまで短編と違い、少しじめっとした暗さを感じる作品です。舞台がロンドンを離れ、ボスコム谷という田舎になるので、「谷」からじめっとした感じを受けるのかもしれません。また登場人物がオーストラリアからイギリスに帰ってきたというのも謎めいて不気味さをかんじるのかもしれません。

 

2.森の中で腹這いになるホームズ

そうはいってもやはり滑稽さを感じる場面もありました。ホームズの行動です。ホームズは事件に夢中になると、

 

このように、なにかの手がかりを追うことに熱中しているとき、シャーロック・ホームズはひとが変わったようになる。

 

ホームズがこういう状態になっているときに何か話しかけても「黙殺されるか」「吐き捨てるような答えをかされるかするだけ」www。うるせえ話しかけんな、というかんじでしょうか。

 

今回はこの夢中になり人が変わったホームズを十分に堪能することができます。

 

「ホームズはしきりにそのへんを走り回り・・・・最後は森のなか深くまではいりこんで」「そこでもう一度、満足げな小さな叫びをもらして、地べたに腹這いになった」(太字傍線はブログ著者)

 

ホームズが腹這いになったのは靴の跡が残るような森の中ですwww。一応「防水外套」を広げているようですが、それでも服は汚れると思いますがそんなの関係ねえ。捜査に夢中になるホームズが楽しい作品です。

 

3.ホームズとワトソンの中の良さ。これはBLのハシリか、、、?

シャーロック・ホームズの冒険を見ていると、ホームズとワトソンの中の良さをつくづく感じます。ホームズはワトソンを信頼しているし、ワトソンもホームズのことを理解して、特に捜査能力に関しては絶対の信頼を寄せている。警察が黒といってもホームズが白といえば、ワトソンは白と信じるでしょう。

 

まあなんかね、シャーロック・ホームズシリーズはある意味ボーイズラブ要素も入っているんじゃないかと感じる次第です。ホームズとワトソンの仲が良すぎる。当然、ワトソンはホームズのことを信頼しているのですが、神経質で繊細なホームズがワトソンのことは絶対的な信頼を寄せていることには、少々驚きを禁じ得ない。

 

ワトソンは人がいいので誰とでも仲良くなれそうだけど、ホームズはワトソンに比べるとという感じがしないでもない。

 

今回のボスコム谷の事件では、ホームズはイングランド西部に行くに当たりワトソンに電報をうち、

 

同行願エレバ幸甚至極

 

とワトソンに同行を求めています(念の為ですが、同行してくれれば相当うれしいよという意味)。そしてワトソンもこの電報にまだ仕事がありながら、

 

時間の余裕は三十分しかない。大急ぎで支度をしないとね。

 

と奥さんに言って三十分より短い時間でホームズのもとに向かっています。相思相愛かよ。

 

4.しれっと描かれるレストレード警部の無能っぷり

 「ボスコム谷の惨劇」で微妙に面白いのが、ホームズ・ワトソンと同行してボスコム谷に向かった警察のレストレード警部。この人はたまにホームズ物に登場しますが、今回は無能っぷりが全面に押し出されています。

 

まず描かれているのが、ホームズとは違い犯人ではない人物を最初から犯人に決めつけていること、その態度を変えず犯人は別にいるかもしれないと捜査するホームズを冷淡な態度で見つめること、極めつけはホームズにヒントを与えられてワトソンでもわかった犯人がとうとう分からなかったことです。

 

ホームズはレストレード警部に犯人の特徴を教えたうえ、こんな田舎だからこの特徴に当てはまる人物はそう多くない、と言っています。それでも最後まで犯人は捕まらなかった。ワトソンはホームズに教えられたヒントをもとに犯人に気づいています。

 

まあ今回の事件では犯人が捕まらないほうがいい結末を迎えますが、警察という組織的にはどうなの?って感じはします。そのあたりの滑稽さもボスコム谷の惨劇の面白さかもしれません。