アルトリア(MO)とフィリップモリス(PM)の合併報道で両社の株価が急落しました。投資家にとっては合併報道でも寝耳に水なのに、株価の急落も伴い、驚きを隠せない状況です。両社の合併報道をうけて投資家はどう行動すればいいのか、私見ですが考えてみました。
☆目次
まとめ:とりあえず慌てる必要はない
まず私の意見ですが、MOとPMの投資家は慌てる必要はないです。ここで売ったり買ったりと急いで行動を起こす必要はありません。なぜならMOとPMの合併報道は「合併の協議」を始めただけであって、「実際に合併する保証はない」からです。
There can be no assurance that any agreement or transaction will result from these discussions. Additionally, there can be no assurance that if an agreement is reached, that a transaction will be completed.
これらの議論から合意または取引が生じるという保証はありません。さらに、合意に達した場合にトランザクションが完了するという保証はありません。(グーグル翻訳)
現実的には協議をしているだけであって、協議をしたからアルトリアのタバコの販売本数がより減ったとか、PMの電子タバコが減ったなどという「実害」は起きていません。
仮に合併が成立したとして、両社にどのようなメリット・デメリットがあるのか。デメリットもあるとは思いますが、メリットもあるでしょう。そのどちらかがはっきりとわからないうちに、「株価が下がった、どうしよう!!!」と慌てて行動する必要はないと思うのです。
なぜ株価は下落したのか?不透明感の存在
「そんなことをいっても実際に株価は下がった。株式市場の動きは合理的だから、なにかのサインを示しているのではないか?」という疑問もあります。
確かに何らかのリスクはあります。しかし合併のメリットをもあります。メリットデメリットあるとして、どちらの比重が多いのか正確に測れる人は世の中にいないでしょう。
ですから株価が下落したのはメリットデメリットのせいではなく、両社を覆う「不透明感」であると考えたほうが自然です。市場は不透明感を嫌うのはよく知られたことですが、不透明感≒リスクでしょうね。どうなるのかわからないから株価が下がる。
アルトリアとフィリップモリスの株価が下落したのは、どうなるのかわからない不透明感のためではないでしょうか。
BTIやJTの株価が下がるのは理解できる
先程からメリットデメリットと書いていますが、両社が合併した場合のメリットは何か?それは電子タバコの世界的販売でしょう。紙巻きタバコの市場が減少傾向にあるのは周知の通りですが、電子タバコ市場は成長しています。
ですからアルトリアとフィリップモリスが合併すれば、両社が持つ電子タバコ「IQOS・ジュール」を世界で販売することにより売上・キャッシュフローが改善する可能性は高いです。
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、ボニー・ハーゾグ氏は、両社の統合によって、キャッシュフローは改善され、IQOS・ジュールの世界的販売を追い風に、たばこ世界最大手が誕生するとの見方を示した。
ですから、アルトリアとフィリップモリスのライバル、ブリティッシュアメリカンタバコ(BTI)やJTの株価が下落するのは分かります。自社の電子タバコが売れなくなる可能性が生まれるので、業績懸念は生じるからです。
投資妙味が生まれるのはアルトリアとフィリップモリス、逆に投資するには怖いなと思うのがブリティッシュアメリカンタバコとJTです。
再まとめ:静観を保つのがベター
長々と書きましたが、アルトリアとフィリップモリスの投資家は現時点では静観を保つのがベターです。確かに合併など不透明感はあるので、どうなるのかわからない不安はあります。ですが冷静になって考えてみると 、合併した場合、成長市場の電子タバコで優位に立てる可能性があります。合併しない場合、最初から何もなかったということで現状維持です。今までと何も変わりません。
どちらに転んでも現況からマイナスにはならないので、無理をして動く必要はないです。
最後にこれからのタバコ市場のことを考えると、ここで合併しておいたほうがいいような気もします。というのも先程も書きましたが、紙巻きタバコは縮小していますので、電子タバコや他の市場で成長を求めるしかないからです。合併してIQOS・ジュールを世界で売るのは理にかなっている方法だと感じます。